アパート経営 審査のポイント2
アパート経営 審査のポイント2
ずっと記事を書いておりませんでした。今回は資金計画と取引推進上のポイントをまとめていこうと思います。
一応これが前回の記事です。
資金計画
1.資金計画の考え方
必要資金の設定にあたっては、初期の投資額を見積もり、これに若干の予備費を加えて算出するのが一般的である。また、事業計画を成立させるために必要な初期投資の目標額を算出し、これを必要資金としてその調達を考えるというアプローチもある。
2.必要資金
必要資金とは、建築資金と当初の運転資金となるものである。アパートの建築に必要な資金は、全体の面積規模、各戸の大きさ、設備の内容と質、構造・工法などにより、大きく異なってくるので、的確に把握することが大事。
また、アパートの必要資金には、本体工事費以外の別途工事も含まれる。つまり、各地方自治体条例や開発指導要綱に基づいて徴求される工事負担金(上下水道負担金等)や外構工事費、駐車場等の敷地造成費用、登記費用、火災保険料などである。これらの諸費用目安は、本体工事費の15~20%である。
アパート経営は、完成後直ちに満室になる保障はなく、運転資金として家賃の数ヶ月分を用意しておくことが必要になる。
3.資金調達計画
アパート事業の資金調達は、一般的には自己資金、敷金・保証金、借入金、借入期間、修繕費の5種類に分けて考える。これらの資金調達方法を十分に理解したうえで、プロジェクトごとの特性に応じた資金調達計画を立案する必要がある。
a.自己資金
自己資金についてはゼロで計画することも多いが、地域ごとに差がある。収益性の確保と経営の安定性を考慮した場合、20~30%の自己資金を用意することが望ましい。
b.敷金・保証金
敷金・保証金に依存した資金調達計画は控えるべきである。
c.借入金
アパート建築のための借入金の利子は税法上、損金に参入できる。また、事業主が個人の場合には、相続税上も借入金が債務控除の対象となるなど、節税効果がある。とはいえ、無理のない範囲で借入金を調達すべきである。
d.借入期間
借入金を償還させるためだけに安易に借入期間を長期化することはせず、相続対策などの特需要因をのぞいて、物件の耐用年数の範囲内での償還を第一に考えるべきである。中古物件の場合は、大規模修繕等の履歴を調査することで、耐用年数を超過していても、収益性を維持できる物件として評価できるか否かの判断を行う。
e.修繕費
修繕費の調達計画を建築計画時に算定しておく。(借入するのか、自己資金を積立するのか等)
4.キャッシュフロー分析
1.収入面
アパート経営の収入は、賃料収入がほとんどを占める。長期的に展望した家賃変動による賃料低下を考慮する。
2.支出面
借入金返済・管理費・固定資産税等が主な支出であるが、アパート経営は修繕費(修繕準備金)を計上することが多い。これはアパート経営が長期間になるため、長期的な修繕計画に基づいた準備金を積立するためである。また、今後の家賃減少リスク・空室リスク・修繕費の上昇リスク・金利上昇リスクを加味した収入減少、支出増加を考慮したキャッシュフロー分析も必要。
5.取引推進上のポイント
1.アパート建築計画時
・アパート経営者の経営目的が何かを把握する。
安定収入の確保、相続税対策
・アパート経営者の総資産を把握。
登記事項証明書による他行担保の設定状況の確認。
・借入金額は適正かどうか
・取引先建築業者の紹介は可能か
・入居者の賃料振込口座は確保できるか
・入居者との新規取引は可能か
・管理業務の取引先の紹介は可能か
2.アパート建築後
アパート経営は、一般的には利回りが8~12%で高くないもの、収入は安定している。
・空室発生の場合
家賃の設定が高い、立地条件が悪い、建物設備の老朽化の要因が考えられる。また、企業や学生向けのアパートで、入居対象としていた企業の撤退や学校の移転等により、入居者が確保できなくなるケースが考えられる。
老朽化の場合・・・賃料の引き下げ、リフォーム等の追加資金が必要
企業・学校の移転の場合・・・間取りの変更
いずれのケースも経営者側の内部留保が不足する場合には、金融機関側での資金対応の是非を検討し、追加投資後の期待利回りを考慮したうえでの対応が必要になる。
・入居者とのトラブル
入居者の家賃滞納や、反社会的勢力等が入居する等の問題が生じる可能性がある。したがって、入居予定者からの申込段階において、連帯保証人のかわりに家賃保証会社等の利用を促すといった対応が考えられる。
一応、家賃保証会社がまとめられているサイトを載せておきます。
・過大投資・低収益物件
土地を新規で取得したものや自宅併用アパートなどで、投資資金が過大になっているケースがある。アパート経営は、投下資本の回収に長期間を要するため、将来的な需給見込み、立地条件、投下資本の回収期間等を十分検討し、余裕をもった投資計画を持つべきである。
ここにも前回の記事も載せておきます。
*参考文献「第13次業種別審査事典 第6巻」一般社団法人金融財政事情研究会